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「は!」
気付くと、金太郎と咲夜、そして咲夜の式神と化した青鬼が、白鬼の操る傀儡たちに囲まれていた。大小、合わせて十五体。
「こんな手荒な真似はしたくなかったのよ。ハイド」
「お、俺は、ハイドじゃ……ねえ」
薄く開けた目で女を睨む。
歪んだ視野の中で目に留まった、彼女の手にある一枚の薄っぺらな板状の物。(あれがこの頭痛の原因だ。)――と確信する。
「いいえ。あなたはハイド、コードネーム『ハイド』。二十年前、私の父が富士山噴火の被害に遭った表口五合目であなたを発見したのよ。その時のあなたは、まだ五歳くらいの子供だったわ。全ての登山客が死亡した中で、あなただけが生き残っていた。記憶を失った状態でね」
彼女の話に何かを思い出そうとしたが、疼くこめかみがそれを邪魔する。
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