16人が本棚に入れています
本棚に追加
「確かに。しかし、彼においては成功したと思います。まだ目覚めて一週間。ただ今リハビリ中ですが、今のところ順調です。コードネーム『ハイド』。このサイボーグ工学、バイオメタル開発の結晶です」
手元のカード型リモコンを、会議室の中心に向けた。光が照射され、実物大男性の立体映像が浮かび上がる。
「彼がハイドです」
百九十七センチメートルの男性裸体。二十代前半に見える男の立体映像は、真っすぐ前を見据えていた。
精悍なクールガイ。アジア人らしい少し吊ったアーモンドアイに肩まで伸びた黒髪はドレッドヘアー。
しかし彼の両腕の肘から下は日焼けの痕のようにセパレーツである。よく見ると脚も付け根から変色している。手足の先はやや黒ずんだ褐色。胸の下には大きな傷跡。額にも切り傷のような痕が一本。
「これが君の愛人ってわけだ。道理で研究熱心なはずだな」
破廉恥な発言をした中年の医学博士を一瞥し、彼女は説明を続けた。
最初のコメントを投稿しよう!