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「一条豊って、たぶん私のお父さんだ。」
「え、えーーーーーーーーーーー!?あの一条豊の子供なの。すげぇー!」
まさかお父さんがそんなにすごい人だったとは。少なくとも虫雄君の中では神格化されているようだ。
「豊さん、今どこにいるの?もしかしてこの村にいるのか?」
「いやー、それが私にも全く分かんないんだよね。」
そう、私は父さんと母さんが何者なのかよく知らないのだ。一緒に住んでいたのに、不思議なくらい何も知らない。
ポン。閃いた!
何で今までこうしなかったんだろう。おじいちゃんに全部聞けばいいじゃん!この世界のこと、両親のこと。こうなると居ても立っても居られなくなる。学校が終わるまでなんて待ってられない。
「虫雄君、私早退するから、先生に体調不良って言っといて。」
「ははっ、さては虫を捕りに行くんだな。面白そうだから俺も付いていくぜ!」
「いや、虫は捕らないよ。」
「独り占めはよくないぜ。」
私と虫雄君は駆け足で教室を出た。
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