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誰ともすれ違わない田舎道を歩き終え、神社に着いた。敷地内には大小たくさんの樹があり、神社の中は全体的に日陰になっているせいで、少し暗い。その樹の中で、私より少し大きいくらいの樹に、なぜか異常に虫がへばりついている。
え?この樹、、、、全身がぞわっとした。樹がこちらに向かって動いてくる。
「神主様、お久しぶりです。」
キモイキモイキモイキモイキモイキモイ。無理無理無理。
「神主様はすごいんだよ。厳しい修行を積み重ねた末にとうとう悟りを開き、体液が甘い樹液になったんだ。俺もいつかこうなりてぇ。」
虫雄君が悟りを開いたら絶対絶交しよう。
「神主様、こいつ相棒がいないらしいです。こいつに相棒を授けてやってください。」
神主様が体から虫を一匹剥ぎ取り、私に渡してきた。
「おー、ヘラクレスオオカブトじゃん。名前何にする?」
「えーと、じゃぁ、へらちゃんで。」
人生至上一番顔が引きつっていたと思う。
どうやらこんな私にも相棒ができたようです。ただ、手の上に虫を乗せているせいで、さっきから鳥肌がたっています。このままだと鳥になって空をとべるかもしれません。そしたら迷うことなく東京に帰ります。
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