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──フゴー、ニャー、フー、ウギャー…
10分もせずに遠くから聞こえてくる。
窓を開ける、「どっかいけ」──音も立てずどこかに行った。
窓を閉める。
ふぎゃぎゃぎゃ、なー、フゴー、ウギャー、ニャー…。またも窓の下で鳴き声が響く。
窓を開ける──さっきのとは違う猫だ。
「うっせー」叫ぶ──音も立てずどこか行く。
フゴー、ニャー、フー、ウギャー…今度は廊下から聞こえる。ドアを勢いよく開ける──廊下の電灯が、音も立てず逃げていく二匹を照らしていた。
その後、10回くらいだったろうか──猫との格闘の末、急に辺りが静かになった──ああ、ようやく眠れる。
月明かりの中、毛布にくるまって畳の感触を全身で感じながら、目を閉じる。
と、ギシギシギシ…ギシギシギシ…廊下から軋む音がする。
また来やがった。怒りも頂点に達し、ドアを開ける──が、猫の姿はない。逃げたか──ドアを閉めて再び畳に横になる。
と、ギシギシギシ…ギシギシギシ…廊下から軋む音がする。今度は近づいてくる、部屋に向かって来ている。
あーいい加減にしてくれ!
ドアを開けると猫はいない。
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