1.下宿生活0日目

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 ──この角を曲がって、坂道を下っていく。  …ってなにこれ、でたー森の中だ!  四方八方を森で囲まれた一本道を下っていくのだ。街灯なんて20メートルに一つくらいしかない。  そんな下りのコーナーを二つ曲がったら、月明かりに照らされて視界が広がった。  そこは田んぼ、その先は街灯も50メートルに一つあるかないかだ。あとは周囲が真っ暗な森、森、森。これまた森。  もりもりたんぼーもりもりたんぼーって…なんじゃーーーコリャ!  田んぼのそばには小さな神社があって、そこも林で囲まれて、げぇ──大自然!  でも住所はあっている。  神社の裏に下宿があるらしい…。  暗い夜道をとぼとぼ行くと、川も無いのにちょろちょろ音がする。  ──どうも神社の向かいの田んぼで音がする。  恐る恐る神社のそばまでいくと、街灯に照らされて、田んぼに水を引く土管が見えた。 「ああ、ここから水が出てるんだ」  ほっとしたのもつかの間、なんだなんだ、土管を凝視する。  あれ、土管に誰か頭を突っ込んでいるみたいだ。 「ぎゃー死体ですかぁ!」  驚いて神社の角を駆け上がるとすぐに、二階建てで青いトタンの壁がある築50年の下宿が見えた。  ──なんだこれ、幽霊屋敷じゃね?  それこそ「ザ・宮ヶ崎荘」──下宿の第一印象だった。  それまで、幾多の霊体験をしていた私は(気になった人は「おなか」「もりのなか」を読んでね) また、正体不明の森の生き物と一緒に生活するのー? 俺のムフムフどこ行ったーーーー。と思ったが、やっぱりそれが現実になる。
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