30人が本棚に入れています
本棚に追加
──どうも、建物外回りのトタンは中の壁が痛んで、ぐるりと囲むように取り付けられたようだ、月明かりで見るとそれも痛みきっている。
ドアなんてとうの昔に崩れおち、中央の玄関と廊下がむき出しの建てつけは年代を感じさせる。外階段で上がる二階もみたところ同じようだ。
廊下を挟んで右に3部屋左に3部屋、二階も同じ作りになっているらしく合計12部屋。窓からは一切光が漏れていない。
──とにかくひっそり、佇んでいるのだ。
私は恐る恐る一階の、玄関らしき部分に向かう。
真っ暗だ誰もいない。
廊下に電灯はあるが、つけていない。
「今日は…誰かいますか?」──大声で叫んでみる。そして玄関らしき場所に入る。
と、足元でグニャ、変な感触。
「うわぁ」
「フゴー!」──ダダダ…なんだなんだ!
にゃおおおおー猫だ──シッポを踏んだのだ。一匹外に出て行った。玄関らしき場所に置いてある山のように並べられた靴が弾け飛ぶ!
「ヒェッ」と、奥から何かくる。目を光らせ、ダダダ…一匹じゃない、ダダダ…何匹いるんだ?…ダダダ…こっちに向かって突っ込んでくる…ぎゃー猫の集団だ。
ビュンビュンビュン…フゴー、ニャー、フガガ…次から次へと外へ出て行く。
最初のコメントを投稿しよう!