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私は玄関らしき場所で靴を脱ぐと、大家について廊下を進む。一階の一番奥の右側がこれからの住居になるという。
鍵を開けて電気をつけてもらう。
中を見て、いやー驚いた。
窓一個、コンセント一個、押入れ一個、照明一個、四畳半の畳のみ。
──今の若い人は想像できないでしょう──テレビなし、エアコンなし、台所なし、トイレなし、フロなし、電話なんて端子すらなし、テーブルなし、後はなーんにも無し…って送っておいた布団やコタツに着替えが入った荷物わぁ?
「今日ちょっと留守してて、明日再配達になったから…後で毛布一枚貸してあげる」
ノォーウオオオ、ノォー!なんてこったぁ~!
そんな私をよそに大家さんは、壁を挟んだ隣に作られた、掘っ立て小屋みたいなところに連れていく。
そして引き戸を開ける。
「ここが風呂場、水張って沸かさないといけないんで、明日から使えるから」
風呂場を見る。
2畳ほどの脱衣所、奥に2畳ほどの洗い場、そしてこれまた2畳ほどの浴槽。
ふむふむ浴槽が広いのはいいね、でも、シャワーは! お湯の蛇口はー! どうして浴槽に入れる水道しかないの?
シャワーなし、蛇口なし、お湯は水を沸かした浴槽からすくって使う──ノォーウオオオ、ノォー! ──それに今日は使えないしぃぃぃ…。
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