奇妙な世界の扉を開く前に

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奇妙な世界の扉を開く前に

「あなたは、バカですか?」 後ろを振り返ると、私が立っている。 ドッペルゲンガー…シニガミ…アクマ…オマエハモウシンデイル… 思考はフリーズ寸前、私の後ろにいる私が、私と同じ声で語り始めた。 「私はドッペルゲンガーでも死神でも悪魔でも、ケンシロウでもありませんよ。 それに、あなたは死んでいません。 しかし、本来であれば1分34秒前にあなたは既に死んでいます。 ですから今、私があなたを拉致してもそれは道理に反する行為とはなりません。 問題ありませんよね?」 ここで、私が異議を唱えたらどうなるのだろう? 「問題アリアリ…ですか? お断りになるのなら、あなたはこの真下でグッシャリとなるだけですよ。」 やはり、選択肢無しか。 ちょっと待った。 何故こいつは考えていることを当ててくるのだろう。 あ、ぁ。 こいつは、私だからだ。 「先程から、頭の中で変に結論づけるのをやめてもらえませんか? あ、ぁ。 って、言うのも気持ち悪いのでやめてください。 私はあなたではありませんよ。」 助けてくれー。 タモさん、解説してください。 「仕方ないですね。 あなたが奇妙な世界の扉を開ける前に全ての説明をしてあげましょう。 何を説明をしましょうか?」 私が死んだかどうか…は死んでないんだよな? 何をって何もかもだよ。 パラシュートが無いのにパラシュートが開いて、時間が止まって、時間が巻き戻されて、自分と同じ顔の、得体が知れない奴に、今から拉致られる。若しくは殺される。 あ、あ。 得体は知れている。 こいつは間違い無く宇宙人だ。 エスパー宇宙人!! エスパー伊藤が警戒されないように俺と同じ顔で現れたんだ。 逆効果だよ伊藤!! 結局伊藤ちゃんに拉致られて私はバラバラにされて研究材料になるんだー!!
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