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……
「脳腫瘍…ですか?」
あの頃の俺はまだ若くて、
全てに於いて無知だった。
激しい頭痛、そして嘔吐。
左目がチリチリと痛み、
開けることもままならなくなって
ようやく近所の医院へと向かった。
子供の頃からお世話になっていた、
ジイちゃん先生。
俺からすれば医者は神様みたいな存在で、
その人の言うことは
絶対だと信じていたから、
まさか診断結果が間違っているなんて
疑いもしなかった。
雑談をした後、目と喉を診て、
それから聴診器を胸と背中に当てられ、
下された結果は“単なる風邪”。
「芳は若いのに大ゲサだなあ。
あまり騒いでご両親を心配させるなよ」
そうトドメを刺され、
バツの悪い思いで帰宅する。
処方された風邪薬は1週間分。
それを飲んでも一向に治る気配は無く、
むしろ悪化する一方で。
でも、ジイちゃん先生の言葉が
脳裏をかすめたせいで騒げなかった。
眠れぬ夜が続き
フラフラして真っ直ぐ歩けなくなり。
これは尋常ではないと母さんに訴えて、
漸く総合病院につれて行って貰う。
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