12.去りゆく青春 ~芳side~

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すぐに本格的な検査をされ、 改めて下された結果は“脳腫瘍”。 なんだか聞き慣れないその言葉に ただただ驚くばかりで。 隣りで話を聞いていた母さんが青褪め、 ようやく深刻な状況なのだと悟ったが、 それでも現実味は無かった。 「ほら、この画像を見てくれるかな。 これが腫瘍なんだけどね、 かなり厄介な位置に有るんだよ」 ふうん。 画像ってこんな風になってるのか。 なんかドラマで見たのと似ているな。 「早速、手術に入りたいけど 残念ながら今からだと半年後しか 手術室が空いていないんだ」 へえ。 そんなに手術が必要な人って多いのか。 …ここまでは なんとなく他人事みたいに感じていて。 ふわふわしていた俺を 母さんの質問が一気に引き摺り下ろす。 「まさか死ぬことはありませんよね?」 40代前半くらいの真面目そうな医師は、 一瞬だけ憐れみの表情を浮かべながらも 事務的に答える。 「それは断言出来ません。 手術してみないと分かりませんが、 完全に除去出来ない場合は 何度でも再発し、 最悪の場合は死に至ることも有ります」 そっか、死ぬかもしれないんだな…。 薄っすらボンヤリと忍び寄って来た “死”の恐怖。 この時の俺は、 まだその恐ろしさを分かっていなかった。
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