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「はあ?」
「会いたい」
…近い、近い近い近い。
鈴のキラキラした目はいつの間にか目の前に。
「…」
頬から汗を流した、私は苦笑いをする。
すると、下から「四季ちゃーん」と呼ぶ声がした。二階から落ちないように身を乗り出し、声のした方を見る。
「あ。大家さん」
長袖シャツにエプロン。そして、手には大きな鍋。中から白いものが見えている。まさかの豆腐ですか?
「お友達?さっき言ってた」
「あ、はい」
気づいてしまった…。大家さん、後ろから尻尾がひょこひょこと動いています。
四季は鈴の視界を遮ろうと振り向いたら、もう視線は大家さんに。
「ねえ…四季。あの人、後ろから尻尾生えてない?」
人差し指を大家さんに向け、私の方に小さく震えながら振り向いた。
「気のせいじゃないかな!」
私は鈴の肩をがっちりと掴むと、勢いよく回れ右をさせた。青ざめている鈴は思考停止状態。
「矢神さんの所、行くんでしょ?」
そう言うと、「うん、うんうん!」と元気を取り戻した。
やっぱ鈴には叶わない…と渋々思った。
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