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「ふう。ごめん、鈴。ちょっと帰ってもらっていい?」
「え?うん。うつったら危ないもんね」
珍しくすぐに承諾した鈴を私はバス停までついて行き、紫色のバスに乗せた。最初こそ怖がっていた鈴だが、もう何事もなかったかのように乗っていく。
帰り際に「天羅くん、かっこよかった」と耳打ちしていった。天羅は絶対やめた方がいい、と言いたかったが、バスが出発してしまったので諦めた。
急いでアパートに向かい、自分の部屋を通り過ぎて矢神さんの部屋に入った。とてもキツそうだ。汗を大量にかきながら、ぜえぜえと息を漏らしている。
それから何度か、タオルを濡らし、額に乗せるという作業を繰り返した。
疲れ切った四季は眠ってしまった。
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