あやかし達と暮らす日々

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目を開けると、亀裂の入った天井。薄暗い部屋には灯り一つもついていない。 私は起き上がり、背伸びをした。 辺りを見渡すと、見慣れないタンスや、テーブル。 混乱する頭の中、ここが自分の部屋ではないことに気づく。 何事かと記憶を探っていると、記憶がだんだん戻ってきた。 「矢神さん!」 バッと立ち上がり、ベッドを見た。空いているベッドには誰も寝ていない。 そうだ。思い出した。 鈴が遊びに来ていた後、矢神さんが熱を出して看病していたのだ。 でも、肝心の矢神さんがいない。 キョロキョロと辺りを見回すが、人…いや、あやかしの気配が全くしなかった。 「…あれ?」 のっそりと立ち上がると頭をガシガシとかきながら、自分の部屋に戻ろうと歩いた。 ガンッ 「!?」 急に大きな音が聞こえたので、四季は驚いて飛び跳ねた。 でも、音が聞こえたこの部屋からじゃない様子。 隣から…そう隣…って私の部屋!? 「ど、泥棒?」 私は矢神さんの部屋から武器となりそうな箒を勝手に借りて手に持つと、音をたてずに自分の部屋へと向かう。 すぐそこなので、数秒で着いた。 ドアノブに手を伸ばし、扉を開ける。でも、ボロアパート。ぎーっという音は絶えることはない。 箒を握りしめ、自分の部屋に勢いよく入った。 「ええい!泥棒め。出るなら出てこい!」 箒を正面にリビングへと走った。まあ走るまでの距離でもないのだけれど。 「あ、ちょ。越さんの物音のせいで四季来ちゃったじゃん」 「わしのせいにするか。ま、それもまた運命!がはははは」 「もう。晴朗さん!」 「…間に合わなかったね」 「…」
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