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彼女は力のある女子で、幼なじみは体のいい標的にされたのだ。
今なら分かる。
好きな人がいるからなんて馬鹿正直に言わないで、俺はもっと上手く断るべきだった。
もっと、もっとやりようがあったはずだったのに。
明らかに、どうしようもないほど分かりやすく、俺のせいだった。
俺は一度もあいつが好きだなんて言ったことはない。
男子間でよく話題にのぼる、可愛いとか美人だとか思う女子の話にだって、あいつを出したことはない。
それでも。それでもあいつに迷惑をかけた。
一緒に帰っているから、幼なじみだから──中学生の幼い俺たちに、理由なんてそれだけで充分だったんだろう。
次第に部活に行かなくなった。
俺なりに打てる手はすべて打ったつもりだけど、それでも、あいつが普通に過ごせるようになるまでに半年はかかった。
そして、あいつは最初から最後まで、もちろん今も、俺を一度も責めなかった。
学校では少し距離を置いて、登下校も別にしようとした俺と、ただ笑って隣を歩いてくれた。
好きだと自覚し始めたのは、なんでもない帰り道の途中だったと思う。
文句を言いながら教室で待って、部活が終わったら渋々一緒に帰っている体で、内心泣きそうに嬉しかったことは今も秘密だ。
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