12人が本棚に入れています
本棚に追加
高校生のとき、追いかけ追いかけられるように同じ学校に進学した。
追いかけて、追い抜いて、できれば隣に並んで、笑い合いたい背中だった。
選んだ理由は二人とも、表向きには家から徒歩で通えるからだったけど、本当はどこかで互いを意識していた……ように思う。
登下校はやっぱり一緒だったけど、特に何も騒がれなかった。
ようやく二人でいてもからかわれない年齢になったのだと、感動したりもした。
将来なりたいものはさすがに違って、大学は別々に進学した。
俺が決めた大学は県内だったけど、実家から通うのは難しくて、大学の近くにアパートを借りて一人暮らし。
あいつは県外の大学に進学。
寮は自炊なんだよー、どうしようね、困っちゃうよね、なんて言いつつ頑張っていたらしいとだけ、母親伝いに聞いている。
ときたま「うちのあのおかずのレシピ教えて」って連絡寄越すのよ、っておばさんが笑っていた。
就職も向こうでしたらしい。
ふと、考えることがある。
もしも、あの手ひどい失敗の前に──もしくは高校生の間に告白していたら、付き合えはしなくても、少なくとも、好きだって言えてたのかなって。
そしたらあいつは、なんて答えたんだろうって。
せめて、笑ってくれただろうか、って。
最初のコメントを投稿しよう!