愛しさを忘れたいから。

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『今日の晩飯なんだろうな』 『え、なに頭の中読んだ? それ私も思ってたんだけど』 『読めるかアホ』 『だよねー。お肉食べたいなお肉。おっにくーおっにくー!』 『うわ音痴』 『ひどい』 『指切りしよう指切り!』 『はいはい』 『約束だから! 破ったら針千本だから!』 『はいはい』 『ほんとにほんとに針千本だからね!』 『はいはい』 『ねえ聞いてる!? 聞いてないよね全くもって!』 『はいはい』 『むかつく……!』 『ねえねえ』 『うん?』 『……あのさ?』 『うん』 『…………あの、さ』 『なんだよ。早く言えし』 『……ええと、えーっと、その……花火大会あるらしいんだけど、一緒に、行く?』 『…………いく』 『……あれ、髪切った?』 『褒めてもいいのよ? 褒めてもいいのよ?』 『あーはいはい、似合う似合う』 『そこは可愛いとかだな、もっと言いようが』 『可愛い可愛い』 『ひどい』 『すっげー可愛い似合ってる。でも俺は前の長いときの方が好み』 『え、いや、っえと、きみの好みなんか知らないし……っ!!』 『でも伸ばすんだろ?』 『うっ、るさい馬鹿!』
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