5:期限は木曜日

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それにしても、『雨だれ』さんの真意がわからない。 わたしに見つけてほしいのか、それとも見つかりたくないのか。 そもそも、どうして第二音楽室の黒板で名前を隠して告白なんて、すごく回りくどいことをしたのだろう。 毎日顔を合わせているのなら、直接好きだと伝えてくれればよかったのに。 何か、直接告白したくない理由があったとか? たとえば……今の関係を崩したくない、とか。 もしそういう理由なら、少しだけ理解できる気がする。 わたしもともちゃんに、好きって言えないもの。 だって、ずっと側にいたいから。 ……もし、わたしが3日以内に『雨だれ』さんの正体をちゃんと突き止めたら、わたしはこれから『雨だれ』さんとお付き合いすることになるんだろうか? 『雨だれ』さんはわたしのことが好き。 わたしは『雨だれ』さんが好き。 いわゆる両想いなんだから、きっと付き合うことになるはずだ。 それはつまり、透くんか星川先輩と付き合うってこと。 2人のどちらが『雨だれ』さんでも、わたしにはもったいないくらいの素敵な人だと思う。 でも……。 自分の中にある余計な気持ちに気づきさえしなければ。 わたしは素直に喜んでいたし、付き合うとなれば浮かれまくったに違いない。 ……ともちゃんが『雨だれ』さんならよかったのに。 今は、そう思っている自分がいる。
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