1:『雨だれ』さんからのラブレター

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とにかくこの黒板、このままにしておくわけにはいかない。 でもこれはわたし宛のラブレターなのだ、このまま消してしまうのは心苦しい。 それに『雨だれ』さんの手がかりもなくなってしまう。 もしかしたら筆跡から、『雨だれ』さんに辿り着けるかもしれないのに残念だ。 もう一度ゆっくり読み返してから、黒板消しを手にして文字を消し始めた。 宛名の「鈴木理奈様」の文字は、結構高い所に書いてあって、ちょっと背伸びをして消した。 わたしの身長は155センチ。 目測だけれど、少なくともわたしより10センチくらいは背が高い人だということがわかった。 でもそんな男子、いっぱいいる気がする。 わたしより10センチ以上背が高くて、わたしがここでピアノを弾くのを知っていて、尚且ショパンの雨だれという曲名を知ってそうな男子……。 やっぱり見当つかない。 『雨だれ』さんについては、これ以上考えてもわからないし、もしあのラブレターが本気なら、またあちらから何かアクションがあるかもしれない。 わたしは『雨だれ』さんが誰なのか考えるのを一旦諦めて、当初の目的を果たすことにした。
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