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そう考えていた。
だが、現実はかなり違っていた。
俺が起こす前に、子供達が起きて来た。
目を擦りながら、「ママは?」と二人は妻がいない事に気づく。
「お友達に会いに出かけたよ」
そう言うと、渉は「ママ、ママ」と言って妻を探し歩く。
「ママいないの?」
翔汰が不安そうな顔で俺を見る。
「夕方までには帰って来るよ。それより、パパと朝ご飯を食べよう」
妻がいないとわかると、渉がぐずりはじめた。
やばいと感じた俺は、渉を抱き上げて「すぐに帰って来るから」とあやすが時すでに遅く、さっそく小さな怪獣に変死して大声で泣き出した。
それを見ていた翔汰も、同じく小さな怪獣になって泣き出してしまった。
「今日はパパと遊ぼう、な」
いやいや、と必死で抵抗する小さな怪獣たち。
こうなってしまっては、小さな怪獣たちは聞き耳を持たずに泣き続ける。
俺は頭を抱えながら、渋々スマホに手を伸ばし妻に電話をかけた。
きっと、まだ電車の中だろう。
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