誰にも届かない独白

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 細かな報告を求めるくせにどうして無視をするんだろう。連絡なしに他人とつるめば火を見るのはこちらだと解っているから逐一連絡をするのだが、もうそれも余計なんだろうか。いるのが当たり前なのか、居ることに興味がないのか、俺は家具と同じか。此処にいるはずなのに認知されていないような、虚しさが積み上がる。寡黙に叫んでも仕方がないのは解っているが、言い寄りせがむと別れを切り出されるのはもう4度も経験してきた。警報を鳴らすように彼の耳に視界に届くように 合図を送ってもやはり駄目そうだ。  愛の契りも振られて船を漕ぎ始めた夜半、スマホがバイブした。何かと思って 確認すると、液晶には後輩の名前がポップアップに出ていた。明日の昼休みにいい店が見つかった、そんな他愛ない話。スワイプして返信だけ打とうと思ったが、 それよりも先に彼の手のひらに覆われ、電源を切られて没収された。俺の手が届かないサイドボードに放られる。何か言われるかと思ったが、ほどなくして寝息だけが聞こえた。
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