誰にも届かない独白

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 彼は悋気持ちだ。  それも飛び切りの。  自分の目の届かないところで何かをされるのは我慢がならない。  すぐに態度がそっけないものに変わり、俺を無言の圧で以て責め立てる。  彼の中にあるボーダーラインを越えてはいけない。  向こう側に渡ってしまえば何をされるかわからない。  見えない檻に閉じ込めている。  彼は吊った魚に餌を与えない。  飢えていくと解って居ながら、釣ったという優越感にだけ浸って何もかも忘れていく。  俺は孤独だ。
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