誰にも届かない独白

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「……好き。好き、好き……」  寝言を演じる。しがみ付けば何かが変わると思うから。  抱かれながら感じる孤独。  頭の中で少しずつ雫が垂れるのを感じる。  一滴ずつ嵩を増す真っ黒な雫の毒溜まり。苦しさが募る。頭がじんわりする。締め付けられる。この苦しさが心臓に下りてくるのを知っている。浸食して人を壊す自家製の毒。  体の裏が真っ黒に染まったら、狂気となるのを知っている。
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