第0章 天界

1/28
129人が本棚に入れています
本棚に追加
/464ページ

第0章 天界

0.天界の入り口 茜色に染まった雲海に、金烏玉兎(きんうぎょくと)、低い太陽と金色の月。 ・・・そこは天界。 今日亡くなった人だろうか、5000人位の人間と動物がいた。 驚いたことに、猫や犬などの動物も雑多な人の言葉を発している。 喧騒渦巻く中、頭の中に響いた声があり、それぞれ誘導させられている。 「ショウくん、あなたはK組に並んでください」 ・・・私の名は「ショウ」という。苗字はなぜか記憶にない。・・・ショウという漢字もわからない。 周りの人や猫にも聞いてみたが、苗字は思い出せないらしい ・・・良かった(ボケたわけではなかったらしい。猫に苗字があるのかは微妙だが。) 周りを見てみると、皆、妙に若い。20歳くらいだろうか。 自分はどうなんだろうと、手や身体を見てみると20代の頃の皮膚、体型なのに気がついた。 たぶん顔も若返ったんだと思う。 私は言われるままに、K組と表示されている空中に浮かぶ文字のところに並んだ。 K組は、みんなきれいに整列しているが、R~V組あたりはただ集まって寝転がっているのが多い。 たぶん集まりもしないのは、W~Z組なのだろう。棒のようなもので突かれて、集められていく。 皆、気づいただろうが、クラスはA~Zまで26組あり、 Aの方が上位クラスらしく、A~E組までは、椅子が用意されており、その他は立って並んでいる。 A組は特別クラスみたいだ。10人くらいしかいなかった。 皆がだいたい整列したところで、空中に浮かぶ矢印模様の方向に行くように誘導される。 移動していると、「ゲコッ」と声がした。 なんと、カエルを踏んでしまったようである。 「気を付けてケロ」とカエルに注意され、 慌てて謝まる。「申し訳ないでごわす」 なぜか、鹿児島弁になってしまった・・・だがしかし、九州出身ではない。 カエルは、軽く会釈しB組の方に向かっていった。 へェ~あのカエル、見かけによらず偉いんだなぁと思いつつ、「きっと殿様カエルに違いない」と心に刻んだ。 しばらく歩いた先には、500人ほどが入れる階段状の教室があった。 「まるで大学の講義室みたいだな」なんて思っていると、教師風のメガネをかけた天使がやってきた。 なぜ、天使かって?・・・背中に白い羽と輝々とした輪を頭の上に浮かべている。 ・・・見るからに天使である。
/464ページ

最初のコメントを投稿しよう!