とある喫茶店

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とある喫茶店

オープンテラスが人気な喫茶店で女子高生3人組が話し込んでいる。 季節は初夏。 定期試験も終わり、終業式に出たその足でこの喫茶店に来たようだ。 数人の客が視線を女子高生たちに向けるとなにやら顔を寄せ合う会話体勢になっている。 恋愛話かと思われたが・・・ そんな可愛い話ではなかった。 「ねぇ、知ってる?この近くにある高校のこと」 「え?近くに高校なんてあったっけ?」 「あるよー、ほら廃校になった」 「そういえばあったような・・・で、その高校がどうしたの?」 気の強そうな子がフフンと鼻をならした。 「あそこさ、出るらしいよ」 両手の甲を2人に見せるように垂らして、低めの声でつぶやいた。 「え、まじでー!?」 前髪をピンで捩じり上げている子がポーズを真似をする。 「廃校になった今でも、あの高校には七不思議があるって逆に有名だよ」 「逆にってなにさ」 「ベタベタな七不思議ばっかりなんだって、」 夜中に動く人体模型とか、美術室に現れる亡霊とか、トイレの花子さんとかーー 「花子さん!?まじかよ今時花子かよ!むしろ会いてぇー!!」 前髪ピンの子が笑いのツボに入ったらしくゲラゲラと笑い出した。 「うるさっ」 「ねぇねぇ、亡霊ってどんな?」 「詳しいことまでは知らなーい」 ガシャン。 「やっべー」 「何やってんのアンタ・・・ほら拭いて拭いて!」 笑いが治まりきらなかったようで、テーブルの上に水をこぼしてしまった。 床にもこぼしてしまい慌てて自分たちの荷物を避難させ始める。 あきれた雰囲気が店内に漂いはじめていた・・・。
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