第1章 いつもの風景

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老夫婦の趣味は、冒険の物語を読むこと。 誰も行ったことのないところへ冒険したいというのが、2人の若い頃からの夢だった。 知的なチャーリーは、大学生の間に飛行機の整備士の資格やパイロットの資格を取り、大学機関で飛行船の開発の研究を行なっていた。 同じく飛行船の開発部で研究に携わっていたポリーは、いつか宇宙へ飛び立つことを夢見て、日々トレーニングを重ね宇宙飛行士の試験に合格していた。 そんな夢を抱く2人の若者の邪魔をしたのは戦争だった。戦火の中飛行船の開発はできるはずもなく、武器の生産や開発しか2人に残された選択肢はなかった。 チャーリーもポリーも開発者という職を手放し、田舎で働きながら細々と生活していた。 こんな状況で結婚式を挙げられるほどの資金もなく、チャーリーは水車のそばの花畑で手作りの草冠をポリーにつけてあげた。 それが2人の結婚式だった。
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