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胡蝶の夢・炬燵の夢
墜落する夢を見たことがあるだろうか?
ちょうどそんな感じの落下感覚を味わわされた末に、私は気を失ってしまったらしい。
気がつくとここにいた。
身体に痛むところはないので、地面に叩きつけられたわけではないようだ。
しかしこの場所がわからない。
ここは……どこだ……?
あたりは闇に包まれている。夜なのかと思って上を向いても、そこには月も星もない。
ここが屋外だと直感的に思った理由は、肌に感じる妙な冷たさだ。
寒い。
風こそ吹いていないものの冷え冷えとしている。
もしここが屋内だとしたら、巨大な冷蔵庫の中にいるのかもしれない。あるいは氷室の中か。このままここにいたら、身体の芯まで冷え切ってしまうだろう。
私が身にまとっているのは……どうやら部屋着らしい。ジャージの上下にパーカーを着ている。部屋でくつろぐ時の服装だ。靴は履いていない。足は靴下だけだ。
寒い……足から冷えてくる……。
とにかく靴が欲しいし、できるならばコートか何かを羽織りたい。
だが……それらのものを探そうにも、あたりは全く見えない。
もしかして、視力がなくなってしまったのか?
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