プロローグ。

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優しい人……? 恐る恐る彼を見るとまたもやギロッと睨まれた。 ひぃぃっ!!? 「変なことを言わないで下さい。田中さん。 では、失礼します」 彼は、そう言うと出て行こうとした。 「おや?もう帰ってしまうんですか? いつものようにお茶でも……」 「結構です!忙しいので」 ピシャリと断り管理室から出て行ってしまった。 凄く不機嫌そうに。 もしかして私のせいで 怒らしてしまったのだろうか? 彼の態度にビクビクしてしまう。 「おやおや、照れちゃったのでしょうかねぇ~? 岡野さんが居たから」 いや、怒っていたんだと思います。 凄く不機嫌そうでしたから……。 ほんわかした癒し系の田中さんと違い 目付きの鋭い田中さんとは、まったく対照的だった。 もしかしたら 管理人として相応しくないと思ったのかしら? ありえる……。 普通、出勤初日に赤ん坊を連れて来る人なんて 居ないもの。 どうしよう……謝罪した方がいいのだろうか? オロオロしていると管理人の田中さんが 「さて、そろそろ仕事の段取りを教えないと……。 大丈夫ですよ。岡野さん。 彼は、意外と照れ屋さんですから」 ニコニコしながら言ってくれた。 照れ屋さんって……どう見ても そうには、見えませんが?いや、それよりも のんびりした田中さんに驚いてしまう。 本当に大丈夫かしら? だが取り合えず考えていても始まらないので 仕事を教えてもらうことにした。 謝罪は、後でしよう。
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