11本の向日葵

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残業は相変わらず。 だけど、家に帰ったらミライがいる。 そう思うと、前よりはるかに仕事がはかどった。 ミスだって減った。 怒られることも、減った。 ミライって、不思議。 一緒にいたくなる存在。 私は、ミライのことが好きなのかもしれない。 「ついたね」 「すごいな。俺こうやって見てみたかった」 「私も、こんな風に見るのは久しぶり」 この会話は小声気味で。 「ねぇ、柚那」 ふいに呼ばれた名前に、少しドキッとした。 「な、なに」 「俺、こういう立場だから許されないけど、柚那が好き。」 「…はっ?」 どストレートな告白に、頭がついていかない 「恋人らしいことはしなくていい。だけど、好きになってほしい。ワガママだけど」 「…」 〈嬉しい。〉 そう、思った。 「ふ、嬉しいんだ。」 「うん。嬉しい」 「じゃあ、いいの?」 うん、そうだね。 「いいよ。」 向日葵畑を目の前にして 私たちは恋人同士となった。 世界で一番寂しい恋人同士に。
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