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もしかしたら、あそこにいるかもしれないのぉ。 ぽんぽん」
「あそこ?」
理人と輝が首をかしげる。
「大切にされた者たちが付喪神に転生する大神様のところだ。ぽん」
「ねぇ、その大神様のとこって、どうしたらいけるの?」
「俺たち、どうしてもあの時計をみつけたいんだっ」
楽器たちは肩を寄せ合ってしばらくひそひそと話していたが、やがて二人へ視線をむけた。
「大神様は、どこにでもおるわい。
ぴーひゃらら」
「そして、どこにもいない・・・。
てーんしゃん」
そう言い残し、楽器たちはすぅ~と森に吹いた風に乗ってどこへともなくきえていった。
「楽しかったぞ。
人の子よ。
ありがとう~。
ぽん、ぽん」
理人と輝は、次第に小さくなっていく楽器たちをポカンと口を開けてみていた。
「いっちゃった・・・・」
「結局・・・、いるのか? いないのか?」
「う~ん・・・・・」
ふたりは腕を組んで考えた。
「とりあえず、あの楽器の神様たちが消えた方向に行ってみようぜ」
「あ、それいいね。
さすが、輝くんだねっ」
ふたりは笑顔で、力強く楽器の付喪神が消えた方の森の中へと入っていった。
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