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宅配業者に電話をしてから約30分後。弘人の部屋にインターホンが鳴り響く。
「すいませーん、宅配便でーす」
「はーい、ちょっと待ってくださーい」
洗濯物を畳んでいた弘人は作業を中断し、扉へと向かう。
「はい、お待たせしまし・・・・・・た・・・・・・」
「えー、緒方弘人さんですかね? お届け物です。ここにサインをお願いします」
「あ、は、はい・・・・・・」
扉を開けた弘人は言葉を失くした。それは宅配業者を見たからではない。その業者が持ってきた届け物を見て言葉を失くし、母親の言葉を思い出した。
(『異様に大きかった』)
(これは大きすぎだろ・・・・・・)
宅配業者の隣には、大型テレビが入っているのではないのかと思うダンボールが置いてあった。しかも、それは一つではなく二つもあった。
「はい、確かにサイン頂きました。中に入れましょうか?」
「あ、大丈夫です。自分で入れます」
「はい、わかりました。それでは、ありがとうございました。失礼します」
宅配業者は礼儀正しく頭を下げると、そのまま車へと早足で向かった。
再び、二つの大きな荷物に目を落とした弘人は疑心暗鬼になりながらも、荷物を部屋に入れることにした。
「何それ?」
そんな時、良いタイミングで慎太郎がコンビニ袋を片手に登場した。
「ちょうどいいや。ちょっと手伝ってくれ」
「いいけど、何これ? でかくない?」
「自分も何が入っているのか全く分からん。分かるのは姉ちゃんからの贈り物ってだけだ」
「弘人の? ほぅ、これまた珍しい。早く中に入れて、開けようぜ」
「先に言っておくけど、これは俺宛の荷物だからな?」
「まぁまぁそう言いなさんなって。食べ物かもしれないだろ?」
「それなら半分やるよ。ほら、手伝っておくれ」
「はいよ」
弘人と慎太郎はお互いにダンボールを一つずつ持ち、部屋の中に入った。
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