1.始まりの地

5/6
前へ
/6ページ
次へ
 事態が飲み込めない弘人は、一先ず自室に駆け上がる。そして母親に電話をした。 『はい、もしもし。どうしたの?』 「いや、お母さん。何か荷物送った?」 『あらー送ったわよ。彩香からあなた宛に荷物が一昨日届いてね。あなたが今一人暮らししているのをあのこ知らなかったから、そっちに送ったわ』 「えー何それー・・・・・・」  だいぶ軽い様子の母親の声を聞いた弘人は、口から呆れまじりのため息が出た。 「それで? 何を送ったのさ?」 『んーあんまり分からないんだけど』 「何で?!」 『中身を見ないでそちらに送ったからね。割れ物注意? とかそんなシールがあったわ』 「割れ物?」 『あとね、異様に大きかった』 「異様に大きい?」  いよいよもって、彩香が何を送って来たのかわけが分からずに渋い顔になった。 (6年ぶりに送ってきた荷物が意味不明とは・・・・・・非常に怖い) 『あ、あと炊事と洗濯、掃除はしっかりするのよ』 「んー、わかった。ありがとう、お母さん。また何かあったら連絡するね」  そう言って母親との通話を終了し、手元の不在連絡票に目を落とす。いったい何を送って来たのか、考えても一切の答えが出てこない。 (電話するか)  答えが出ない弘人は諦めのため息を漏らし、再配達連絡先の番号に電話をかけた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加