青く光り輝く神の使い

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 すると、大逆転劇によって反対にきゅうちにおいやられたクシャトルーラ(王族)の大首長は、我をうしなったネズミのように光り輝く神の使いに対してするどくかみついてきたのだ。 「おい、まよえる群衆(バイジャ)たちよ。 君たちはなんとかわいそうなのだ。 きさまらもわかるだろう。 あれがわれわれをおびやかす外敵の正体だ。 もはや世界は混沌の奥深くにはまっているというのに、いまだに光だの聖だのというよこしまなほのおをふりかざして、救いの手を差しのべると嘘をのたまい、ねずみたちをとりこにするねずみとりを仕掛けたと思うと、 われわれ迷える子ねずみたちをいっせいに捕らえて焼きはらおうとしている。 さあ小人(ダビデ)よ今こそ立ち上がり、あの巨人(ゴリアテ)を打ち抜こうではないか!」  若き大首長の扇動(せんどう)によってこの荒野の国の大部分を占める平民のバイジャたちは、またたく間に群れをなし、聖なる大鳥ガルーダめがけていっせいに石を投げかけてしまっている。 バイジャだけではなかった。 さっきまでクモの子を散らすようにいなくなっていた特権階級のクシャトルーラやバラムーンが、いつのまにか出てきて、その神の使いを自分たちの敵だと認識し、弓矢を放ってきたのだった。 その者たちは、白い肌と白い歯をちらつかせ、うす気味悪い笑みをうかべながら弓を引いていた。 反射的にガルーダがバイジャやクシャトルーラやバラムーンたちめがけてその青きほのおを放とうとする。
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