余裕がある理由

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日本酒まで飲んで、私は約2時間たつ。 私は初めて会った岡田さんという35歳の男に口説かれていた。 「うちに来ませんか? 変な意味じゃなく夜景が綺麗に見えるので」 「よく行くホテルのBARに行きましょうか」 「少し疲れたでしょう? 近くの休めるところへ行かない?」 岡田さんの口説き文句は、あっと言う間に段々あからさまになり、最終的には、ただの欲望をさらけ出したものになっていた。 「行きませんよ。会ったばかりで」 「いくつだっけ? 亜紀ちゃん」 「27です」 3つもさばを読んでいた。 「丁度いいよ。俺と合うよ」 「何が?」 「亜紀ちゃんみたいなタイプは年上の方がいいって」 「私みたいなタイプってどんな?」 「強がってるけど、本当は寂しがりやなタイプ」 椅子から立ち上がる岡田さん。 「ちょっと、失礼」 洗面所のほうへ歩いていく。 非凡な日常を望んでいた。 運命的な出会いは、わたしを少しだけ非凡で優しく包んでくれた。 だが、私は非凡と軽さを一緒にして考えてはいない。 「このまま戻って来る前に逃げようかなぁ」 所詮はナンパだったのだ。 そんな出会いに真剣な恋を求めた私が間違えていた。 バッグの中に手を入れ、スマホを取り出した。 受信されていたラインを見て、思わず笑みが漏れる。
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