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「私さ」
「はい」
「酔ってる中本くんと、どうにかなるつもりないからね」
非凡な日常を好んではいるが、それは軽い日常とは違う。かけ離れている。
誰とでも寝る女が非凡な訳てもないし、素敵な訳がない。
中本くんの目を見て、話をした。意外と焦点が合っている。
酔いが醒めたんだろうか?
じっと、中本くんを見ていたら、中本くんが私の両肩に手を置いた。
「酔ってない! 酔ってないよ、花ちゃん」
ぐいっと引き寄せられた。咄嗟に中本くんの透けた胸に手を置いた。
「花ちゃんのこと、ずっと好きだった。今までも何度も言おうとしたんだけど……タイミング悪くて言えなかったんだ」
「ずっと好き? いつから」
「初めから」
「初めっていつ」
「花ちゃんが、この会社に入った時から」
「……初めすぎない?」
「すぎる。ひいた?」
「ひいた」
中本くんの胸に当てた私の掌が濡れていく。中本くんの透けたシャツを見つめた。裸の男を目の前にしているような気がした。
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