おひとりさま

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★★★ キャラメルポップコーンとリアルゴールドの入ったカップを持ち、CINE7と書かれた劇場内へ入った。 私が選んだ席は、劇場の真ん中あたりにあるFの列、スクリーンに向かって座った一番左端だ。 端を選んだ理由は、怪しげな人間に囲まれない為だ。 以前、真ん中の席に座ったら、両隣に怪しげなオジさんが来て座られたことがあった。 まあ、時間も遅かったからいけなかったのだが、右からはタバコくさい息が流れてきた。オジさんが脱いで膝の上に置いたコートの下をもそもそしている様子が嫌でも視界に入ってきた。 左側のオジさんは、酒くさくて私の足に膝を当てるほど足を広げていた。 気分が悪くなってきて、席を立ち劇場の外へ出た。あの日は、頭痛もし始めたので結局映画を全く観ないで帰ってきてしまった。 端なら、そういった理由から映画代を無駄にするリスクは真ん中よりは少ない。 キャラメルポップコーンをつまみながら、リアルゴールドを飲んだ。 見事に味が調和しない。だが、塩味やバター味ではなくキャラメル味が食べたかった。コーラではなく、元気が出る感じのリアルゴールドが飲みたかった。 劇場内が暗くなり、急に大きな音でCMが始まった。 階段を上がってくる男がいた。 隣じゃないといいんだけど。 視界に入ってきた男が、私の座席の隣に立って私をチラリと見たのがわかる。 それから、階段を一段下りて私の前の席に座った。 こんなに空いているのに、よりによって前に人が来るなんてついてない。 スクリーン両端にあるカーテンがより開かれて劇場内が一瞬静かになり、映画が始まる。
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