インナー

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30年生きてきて、どうしても譲れないものがある。 この考え方を変えなければ非凡な日常は巡ってこないのだろうか。 どれも他人からしたら、些細でどうでもいいことだろう。だか、どうしても生理的に無理なのだ。 私はワイシャツを着て、体にべったり貼り付けたまま平気な男とは到底付き合えない。 インナーを着るなりするべきだ。 他人から見たら、本当にどうでもいいことだ。でも、わたしには、どうでも良くないこだわり重要ポイントである。 非凡を望んでいるが、自分の信念をねじ曲げるつもりはない。 「………ごめんね」 中本くんの胸を軽く押した。離れてから、深く頭を下げた。 「花ちゃん……」 顔を上げて、中本くんの顔を見ようとした。でも、透けた胸に目がいってしまい、まともに見られなかった。 「ごめんね」 ベタベタする掌。 早く家に帰ってシャワーを浴びたい。 1日の汗を流してしまいたい。 新しく買ったボディソープを早く使って手を洗いたい。 それだけを考えていた。
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