47人が本棚に入れています
本棚に追加
答えようとすると、
「そういえば、ローストチキンって食べましたっけ?」
真顔で聞いてくる。
「えぇ、さっき」
「うわ、なんか僕、話に夢中で食べ物に全く集中してなくて……」
残念そうな佐藤さん。
「はあ……」
「あっ!」
佐藤さんが、また声を上げた。その声に私まで驚いてしまっていた。
「えっ?」
「あ、申し訳ありません。僕、話に夢中で花さんにも集中してなくて……」
「え?……いえ」
小さく息を吐いてから、チョコレートケーキにフォークを入れた。
「あっ!」
声を上げられ、またビックリしてしまう。
「どうかしました?」
「いえ、あの失礼な事を言った気がして……花さんに集中してなかったのは、その花さんのせいとか魅力がどうのという問題では無くて……いや、あの、違うんです。花さんがどうのという事では決して……」
どんどん落ち込んだようにうなだれていく佐藤さん。
「ダメだな……僕……こんなんだから女性と付き合えないんですよね」
俯く佐藤さんが、可哀想に感じた。
最初のコメントを投稿しよう!