ローストチキン

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答えようとすると、 「そういえば、ローストチキンって食べましたっけ?」 真顔で聞いてくる。 「えぇ、さっき」 「うわ、なんか僕、話に夢中で食べ物に全く集中してなくて……」 残念そうな佐藤さん。 「はあ……」 「あっ!」 佐藤さんが、また声を上げた。その声に私まで驚いてしまっていた。 「えっ?」 「あ、申し訳ありません。僕、話に夢中で花さんにも集中してなくて……」 「え?……いえ」 小さく息を吐いてから、チョコレートケーキにフォークを入れた。 「あっ!」 声を上げられ、またビックリしてしまう。 「どうかしました?」 「いえ、あの失礼な事を言った気がして……花さんに集中してなかったのは、その花さんのせいとか魅力がどうのという問題では無くて……いや、あの、違うんです。花さんがどうのという事では決して……」 どんどん落ち込んだようにうなだれていく佐藤さん。 「ダメだな……僕……こんなんだから女性と付き合えないんですよね」 俯く佐藤さんが、可哀想に感じた。
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