友の死、そして

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友の死、そして

一昨日、中学からの付き合いだったバカが死んだ。死んじまいやがった。 今俺のダチ、直道(ナオミチ)の葬儀が行われている。 「ナオ…お前なんで…。」 死因は交通事故による全身強打。及びそれによる頭部の外傷と、内蔵の損傷。 俺との待ち合わせに遅刻しそうになったコイツは、この日暴走トラックに撥ねられた。 犯人は依然捕まっておらず、手掛かりすら掴めていない。 「お前が居ねぇとさぁ、つまんねんだよ!なぁ、寝てるだけなんだろ!?起きろよ!」 そんな俺の発言を聞いた直道の母親は、堰を切ったように声を上げて泣き出した。 声を荒げたが、そこにあるのはただの直道の抜け殻。起きるはずも無い。 辺りから返ってくるのはすすり泣く声と、俺を憐れむ眼差しばかり。 もう居ないのは分かってる。だけどこいつのことだから、今にでも起き上がって 「ハルヤ、ビックリしたか!?」とでも言って来そうなんだ。 そうゆうヤツなのに、 「なんで死んじまっだんだよぉ…。一緒に映画見にいぐ約束だったじゃねぇがよぉ…。」 そう、一昨日直道とはファンタジーモノの「side.1」を見に行くはずだったんだ。 side.1の原作では、主人公が何度も何度も死にながら異世界を巡っていくというもので、直道はそんな世界に憧れを持ってた。 「異世界転生っていいよなぁ!俺もしてみたいよっ!」 そう言った直道を見たのが三日前。生前の彼を見たのは、それが最後だった。 葬儀が終わり、直道は焼かれ、墓に埋葬された。 最後まで直道の母親は泣いていた。他の大人たちも泣いていたし、当然俺も泣いた。泣いた。 家に帰ってからも、沈んだ気分のまま。その日の食事は一切喉を通ることはない。 自分の部屋に戻った俺は直道が生きていた証を消していった。 写真に、ゲームのフレンドリスト、PCのメールにその他連絡先まで…全部、全部消していく。 だって、辛いから… と、 "Pikon" スマホが鳴った こんな時にLINNEだなんて誰だよ… 今そんな気分じゃない、と思いながらスマホに手を伸ばす。 ロックを解除しようとし、通知メッセージを開いた俺は、目を疑った。 きっと誰かのイタズラか、はたまた彼の知人からの悪ふざけなのか。 ナオ>>異世界転生なう はぁ?
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