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いつの間にか、見知らぬ男が部屋にいるのだ。
いや違う。……見知らぬ男ではない。
顔はよく知っている。見慣れた顔の男が床を拭いていた。
少し老けて見えるが間違いない。
……まさか、本当に「未来に来た」のか。
「そのまま動くんじゃない。忙しいんだから」
こちらに気づいたのか、男がそう言い放った。
いや違う。
こちらを見ているのではなく、その後ろ。
ちょうど部屋に戻った女に声をかけたのだ。
どうやら俺のことは見えていないらしい。
女はびくりとし、震える口調で言った。
「あなた、なにしてるの!」
「見ての通りだよ。またこいつを家に入れたのか」
「あなたまさか……殺したの?」
俺は驚いた。
よく見ると、男が拭いているものは血だった。
そして、部屋の奥には血だらけで倒れている人影が見えた。
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