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「あー…まあ、告白されるのは俺珍しくねぇから…」
「毎日監視してるって言われてるのはおかしいことなんですよ!先輩!」
鈍感。鈍感。鈍感。いやそれどころではない。危ない、危なすぎる。あんな狂気の沙汰の手紙を貰っておいて何を平然としているのだ。私は思わずがっくりと項垂れた。先輩に愛を精一杯ぶつけていたのに何も響いていなかった。愛情はともかく、恐怖すらなかったなんて。何とも思われていなかった!あんなに、たくさんたくさん愛情の重みを乗せたのに。
「先輩、おかしいですよ…!」
「はは、ストーカーって言ってるよりおかしくはないぞ」
「ごもっともです…」
私は気力を保っていられなくなって教室の床にぺたりとしゃがみ込んだ。脱力。先輩が何故か駆け寄ってきて、同じようにしゃがんでくれる。やっぱり、どれだけ今先輩が危険か分かっていない。
「な、俺からも聞いていい?」
「どうぞ…」
批判も非難も、何も浮かんでいない声色が私の耳に届く。先輩は本当に大物だった。私だったら泣きながら警察に駆け込んでいる。手紙くらいじゃ、盗みくらいじゃ、先輩の心は動かせなかった。私はもう半ばどうでもよくなって、先輩の問いに頷いた。
「何で今言ったの?」
「先輩が卒業しちゃうからですよ…」
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