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先輩はうう、と項垂れる私の頭を優しく撫でた。心ときめいてしまう自分が情けなくて、鼻を鳴らす。大きくて暖かい手。大好きな先輩の手。もう私を忘れてしまうその存在。
「特別お前の事好きだから、嫌いになんのは無理だわ」
「は?」
私は先輩から続いて返ってきた言葉にあんぐりと口を開け勢いよく見上げた。何を言っているんだ。特別に私の事が好き?何だって?今私が言ったこと、もう忘れた?
「私の話聞いてました?」
「お前が俺のストーカーって話だろ?」
平然とそう答える先輩を今までしたこともない顔で凝視した。何、何なの。これは一体何。
「先輩、私がしたことはおかしいことなんですよ。同情なんていらないですから」
「同情でストーカーと付き合うか」
「いや、急に言われてよくわかんなくなってるだけですって、落ち着いてください」
「手震えてるぞ、お前が落ち着け」
当たり前だ。ずっと好きだった人に好きだと言われた、手も震える。そんじょそこらの女とは比べ物にならないような感情で先輩を見てきたんだ。毎日愛の言葉を書くのが全く苦にならないくらいには。
「先輩、私おかしいですよ」
「じゃあ俺もおかしい」
「いや平然としすぎてて確かにおかしいですけど…」
「違う」
何が。違わない。普通なら驚く所を全部スルーした先輩はどう見てもおかしい。
「何が違うんですか」
「俺、お前がやってるって知ってた」
「は?」
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