少しの老いと孤独

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2018年5月6日詠(40歳) 我独り浅夢より覚む 日已に晩れ(すでにくれ)光去る 我夢より醒め何にか幸あらん 夜半唯友を思うのみ 私は独り微睡みから目覚めた 日はすでに暮れてしまい光は去ってしまった 私は夢から醒めて果たして幸せだったのだろうか 夜遠く離れてしまった君をただ思うだけである 私は孤独に疲れた。 君と漢文の研究をしながら日々を過ごしては自由に漢詩なぞを詠んでいた福岡での大学時代。 君が居り、情熱をもって打ち込める学問があり、そして君と結ばれた。 卒業後、まさに天職だった或る接客業で全国一位の売上を目指し奮起した。 仕事に熱中し、君を独りぼっちにさせ続けた私は、今度は私が独りぼっちになった。 郷里鹿児島に帰り、今は疲れ果てて睡眠薬なしでは眠れない孤独の日々。 たまたま夕方うたた寝が出来て、水を一杯飲んだ後、日の暮れた窓の外を見ては、 君ありし日の名残りを嘆き、今は廃れて拙い学識中年。それでも過去の日の光を求めて詠んでみた漢詩。
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