少しの老いと孤独

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私はこれを辞世の詩にしよう。 するんだ。 私は死に仕度を始めた。 しかし私はまだ一度も死んだことがないのでその仕度が分からない。 私は思案した。 死に方はわかる。 病院の先生に旅行に行くので睡眠薬を3週間ほど処方して下さい、と頼む。 そしてこれを一気にウォッカで流し込む。私はアルコールアレルギーであるからこれで私はひとたまりもないに違いない。 刃物は怖いし、車や列車に飛び込むのも相手の方、人様に迷惑だ。第一痛そう。高層マンションから飛び降りるなんて考えただけで目がくらみそうだ。うっかり住人の主婦や子供さんにでも衝突して巻き添えにしてしまったら死んでお詫びしても死に足りない。 首吊りは苦しそう。息の音が止まった後、失禁と排便を垂れ流すと本で読んだことがある。 みっともない。 このアパートの家主さんやお隣、特殊清掃業者の方の難儀を考えるとたかが私ごときでそこまで迷惑をかけるわけにはいかないだろう。私死ぬつもりあるのかな?
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