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布団一式・カーテン。
これに思い出がないとしたら、恋人ではない。ただのおままごとだ。
いや、思えば我々がちちくりあっていたこと自体、ただの若気の至りでおままごとに過ぎなかったのかもしれない。
それでも二人は愛し合った。
「ねぇカーテン閉めて」
それが君の合図だった。
「見せつけてあげればいいやん」
という私を君は「変態!」と罵った。
宇宙のファンタジー。
生命の神秘。
それは現実的には寝具での戯れに過ぎなかったのだが、若い二人にはそれを知るよしもなかった。
事切れた私はすぐ寝る癖があった。
君はそれを酷く嫌がった。
「痛っ!」
彼女は私の右肩の肉を噛んだ。
アマガミなどではない本気だ。
「先に眠らないで、早織を独りにしないで」
「わかった、わかったから噛まないでくれ」
私は解っていなかった。
私は彼女の寂しさを理解しきれて居なかったのだ。
卒業して仕事に終われる毎日、私の帰りは遅かった。 多忙を極め、休みの日も仕事仲間の付き合いで彼女を独りぼっちにした。
そんな日々が続いた。
ある日、残業で遅くなると連絡したものの、何故か膝の間接が焼けるように痛くなって途中で残業を切り上げることにした。
「帰ったよ」とアパートの扉を開けると見知らぬ男物の靴。
そこに裸の知らない男とよく知っている女が裸になっていた。
「違うの・・・」
君の一言、その先は思い出したくない。
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