運命の日

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そう言って、天使たちは笑っていた。  あれは本当に天使なのか。誰かの疑問は、恐怖と絶望のうちに消え去った。 ただ、胸を突く音楽だけが他人事のように鳴り響いていた。 …それが、あの日起こった出来事。 僕たちは逃げた。 生き延びたのは、運が良かったからなのか悪かったからなのか。ただ、弄ばれているだけなのかもしれない。 だけど、人って案外タフにできてる。いつしかこんな状況にさえ順応し、そうして。血気盛んな奴らが、レジスタンスを立ち上げるまでになっていた。 …もちろん、相手は長らく神と崇めていた存在を筆頭にする集団だ。神に見捨てられたにもかかわらず、神の決めたこととこの事態を受け入れた連中もいた。 哀れにも、愚かにも、そんな彼らは無抵抗のまま生き胆を引き抜かれ、絶命した。 …彼らの魂は、どこへ行ったのだろう。 が。良くも悪くも無宗教の(と大多数の人々が認めてやまぬ)この国で、そんな事を言うような奴は僅かだった。 そうなれば。反旗を翻すのに、何の抵抗があるだろうか。自ら戦線に立たずとも、レジスタンスを多くの者が受け入れ支持した。 そうして出来上がったレジスタンスは自らを、 『メサイア』 と、名乗った。     
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