運命の日

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人を救う救世主(メサイア)。そうでありながら神に抗うのだと、だからこそ抗うのだと、決意と皮肉を込めて。彼らはメサイアを声高らかに名乗った。 …まあ、そうは言っても、人が神に、天使に敵うはずもなく。 だいたいあっちは実体なんて無いようなもんだ。(なのに、よくもまあ、人の生き肝が喰えるもんだ) こっちの反撃手段なんかゼロ。何もない。あるのは無力感と焦燥と、理不尽への怒りと、そんでもって潰えぬ無謀さ。  ただ、それだけ。 無駄死にだって、みんな心の底では分かってた。 でも、何もせずにはいられなかった。 ただ、おとなしく喰われるだけだなんて耐えられない。 それがレジスタンスに参加する連中の、共通のセリフだった。せめて、納得なんかしていないって意思表示だけでもしたいんだと。 それが、ある時急転した。
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