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双子
退屈な日が、いつ終わりを告げるのか。危険と隣り合わせの日々が、いつ平和になるのか。
誰にも分からない。
ところで、勇者ってのは、いつ、どこに生まれるんだ?
誰かが言った。
それは、みんなの疑問でもあった。
夢の中で、勇者の予言を聞いたのは一人だけじゃない。だけど、あの夢から何年経った? まだ、それらしき赤ん坊が生まれたなんて風の噂にも流れてこない。
天使が天使じゃなくなってから、どれほどの時間が過ぎた?
おかげで人々は地上に戻れた。それでも神サマとやらが何を考えているのかは、誰にも分からないままだ。
…もしかしたら、あの惨劇はただ食い意地の張った天使の暴走だったのかも?
核で全てが消えていなくなってしまう前に、食べ尽くしてしまえとばかりに。
「なあなあ、勇者ってどんなヤツなのかな?」
少年は言った。
町の中心にある広場、その芝生の上に瓜二つの顔立ちの少年が二人寝転んでいた。上気した頬が、つい先程まで元気よく遊び回っていただろう事をうかがわせる。
「またその話かよ。」
うんざりしたように、もう一人の少年が言う。空は青く、爽やかな風が二人の頬を撫でていく。いつもと変わらない日常。退屈と紙一重の。
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