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俺の名は、犬神明。フリーランスのルポライター。いわゆるのトップ屋だ。痩せた仏の俳優のジャンポール・ベルモントに似ているという、いい男なのだ。
クライアントに依頼されて記事をかくこともあるが、独自のネタ元を探って記事を売り込むことが俺の主な仕事だ。というわけで、まあ、喰っていくためには必至に耳をそばだてているのだ。その俺の尖った・・悪魔のような、と不埒なことを言う奴も居るが・・耳にはいろんな情報が流れ込んでくる。
街の噂でも、とにかく、ネタになりそうなものなら、とりあえずは何でも良い。これはと思って突っ込んでも、空振りなんてことは、日常茶飯事だ。商売仲間からすると、俺の打率は、かなりいいらしいが、それでも、空振りはおのずからあるし、それで凹むほど、俺はナイーブではない。場合によっては、空振りだったことでもネタにして記事にすることだってないわけじゃないのだ。そう、モノは言いようなのである。
戦災孤児である俺は、金になれば結果オーライと割り切ることも出来る。週刊誌とか、スポーツ新聞とか、俺の売り込み先で狙っていた記事に穴が開いたときの”埋め草記事”を頼まれることもあるからだ。だから、そういうときのための雑ネタも、用意しなくてはならないわけで。そんな中に、エイトマンというネタがある。
いわゆるの都市伝説なのだが、エドメガロポリスで起こる色々な不思議な事件・・俺の場合、大抵はそれの終わった後に取材することになるわけだが・・の解決の陰に登場する謎の超人存在。エイトマンという名前のそもそもが、どこから来たのか、はっきりしない。実は子供の人気マンガの登場人物なのだが、そのマンガの登場人物から付けられたのか、それとも、それとは逆にその前にエイトマンの都市伝説があってそれをもとに、そのマンガが作られたという説もあるのだ。
で、特段に追いかけるネタのないときには、そういう雑ネタにちょっと色目を使ってみるわけで。金に余裕があれば、温泉旅行とかにしゃれ込んでも良いのだろうが、諸般の事情って奴で、年中、なぜか金とは縁のない商売で。こうしてシコシコ取材しないといけないのだ。
で、俺は、取材した。人気漫画エイトマンの原作者に、だ。どういう情報で、そのマンガを描いているのかってわけだ。
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