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走っただけで着くそこがまるで外国のような、
どこか遠い異国のニュースを聞いているように思えた。
その、当事者とも言える目の前のおじさんは私のパンツで笑っている。
「アン時はなぁ……寒ぐてなぁ……復興ってェいうけんど、どうなんだがな」
おじさんは頬杖をついてコーヒーを飲んだ。
そしてベストのポケットからアイフォンを取り出し操作する。
「見るが? これ、よ、おれの彼女」
そう言っておじさんは画面を私の方に向けた。
そこには私と同じくらいの歳若い、可愛らしいエプロンを身につけた女性の写真が表示されていた。
意外だった。
この冴えない(失礼)おじさんにこんな若くて可愛い彼女がいるなんて!!
「保育士してんのよ。 ちょっとしたヒマ見つけてメールくれてなァ。
ったぐよ、メールしてねで仕事ちゃんどしろって言ってんだけどなぁ」
嬉しそうに笑うおじさんをみて、相当ラブラブな関係らしい、と私は画面の向こうで笑う女性を見つめた。
「おれがガンだからよ、何もしてやれねし別れんべっつってもよ、「いいの!ケンちゃんが働けなくなってもあたしが面倒見てあげるから!」なーんて言うもんだからよぉ……」
なんと美しい愛なんだ、といたく感動
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